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Meister interview vol.11 〜 WhiteKings JONG DOE 中村成陽さん 〜

革靴、皮革製品や靴磨きなど、足元のお仕事に携わっている方はもちろん、
ファッションや皮革に精通しているプロフェッショナルな方々を、
M.MOWBRAY シューケアマイスターがインタビューし、ご紹介する企画です。

日頃、店頭でお客様と接していると、
自然と革靴好きの方々同士に共通の趣味を感じる瞬間があります。

それが「スーツ」と「腕時計」。
直しながら、手入れをしながら長く身に着けるアイテムという点で、
革靴同様こだわっているという方が多いです。

 

撮影:山田憲史

今回は、その中でも「腕時計」の世界から、
奥深く、数多くの革靴好き、時計好きが魅了されるヴィンテージウォッチの専門店 WhiteKingsで
ディレクタを務める中村成陽さんにお話を伺いました。


 

Q(マ). 中村さんの現在のお仕事内容を教えて下さい。

中村さん

ヴィンテージウォッチ店 WhiteKings のディレクタをはじめとして、
現在は企業の新規プロジェクトチームのクリエイティブディレクタとしても働いています。

マイスター

我々に靴を預けてくださるお客様からも、腕時計の話題を耳にする機会が多くあります。

個人的に、全てが一点物のヴィンテージウォッチは、
数多ある腕時計のジャンル内でもかなり奥の深い世界のイメージがあります。

そんな世界で中村さんがお仕事を始めることとなったきっかけには、
どんなことがあったのでしょうか?

中村さん

アパレル販売員の経験を経た後、靴修理店に職人として従事していく中で、
プロダクトとそれに関わる方々の間に介在して、
アーティスティックな側面からアプローチしてみたいと思うようになってきました。

自身の得意なことや好きなことをもっと学び、
これまでとは違う形で自由に発信してみたいと思うようになって、
クリエイティブディレクタとして働いています。

マイスター

ヴィンテージウォッチの世界に入る前にも、
アパレルや靴修理店など、モノづくりに関わる様々なご経験をされてきたんですね。

大切にしながら長く使うという点では、
洋服、革靴と時計、中村さんが過去に取り扱ってきた、
そのどれもに通ずる部分を感じます。

中村さんは、現在クリエイティブディレクタとして働く中で、
仕事の中のどんな部分にやりがいを感じますか?

中村さん

様々な人との出会いを通してそれぞれの個性を尊重し合い、活かすことで、
一人では成し得ない新しい世界を実現していけることです。

マイスター

我々が取り扱っている商品も、
様々な人の協力によってお客様の手元に届いていると改めて感じます。

人との関わり、作業や企画を手掛けていく中で苦労した場面、
乗り切ることに時間をかけた瞬間などあれば教えて下さい。

中村さん

人と関わり合っていく以上、信頼関係の構築は大切な要素の一つであり、
自分の価値観の中でのプライオリティが高い部分かなと思います。

納得のいく仕事をするために、時に衝突することや困難なこともありますが、
それぞれが納得したものを生み出すために必要なことだと考えています。

マイスター

大切な一足をお預かりさせていただく我々も、
お客様との信頼関係の構築には重きを置いています。

中村さんがそんな人との関わりの中で過去に生み出した企画、
デザインや制作物で何か思い入れのあるものにはどんなものがありますか?

中村さん

まだまだ未熟なことばかりですが、自分のフィルターを通して生み出したものは愛着があります。
自分で撮影編集した写真や、ブランディングに関わったWhiteKingsもそうです。

中村さんの私物、OMEGA SEAMASTER 120

ダイバーズウォッチであるシーマスター120は、WhiteKingsが得意とするシリーズで、
中村さんが店主の方と出会うきっかけになった時計でもあるそうです。

 

Q(マ). 靴修理職人としてのご経験もある中村さん、靴は何足くらいお持ちですか?

中村さん

7足ほど。よく履いているのは、3〜4足です。

マイスター

好きな靴を厳選しているという印象を受けます。
お持ちの靴の中でも、特に気に入っている靴はありますか?

中村さん

シューズデザイナー竹ケ原敏之介さんがデザインされた靴が好きです。

マイスター

foot the  coacher(フット ザ コーチャー)を始め、
竹ケ原さんがデザインされた靴は、我々の店舗にもお持ち込みいただくことがあります。

竹ケ原敏之介さんがデザインされた靴について、
ヴィンテージウォッチを取り扱う中村さんの目線でどんなところに魅力を感じますか?

中村さん

やはり、ラスト(=木型)なのかなと。
靴全体から醸し出すオーラ、雰囲気に惹かれるんですよね。

お客様の靴や広告媒体など、様々なタイミングで、
この靴カッコいいなと思って確認すると、
そのほとんどが氏の靴であることが多いです。

なので、どこか言葉には表せない、
隠されたこだわりの部分にも魅了されているのかなと思ったりしてます。
センスは細部に宿るのかなぁと。

中村さんが実際に履いているという foot the  coacher のプレーントゥシューズ。

ソールの厚み、トゥの丸みや6つのアイレット(=靴ひもを通す穴のこと)など、
黒のプレーントゥというシンプルなデザインであるからこそ、細部への拘りを愉しむことができる一足。

 

Q(マ). 好きな革小物のブランドはありますか?また、特にお気に入りのアイテムがあれば教えていただきたいです。

中村さん

IL BISONTEの革小物はよく持っています。

そのほか、持っている革小物の中でも特にお気に入りなのは、
高校生くらいから使っている、Leeのレザーベルトです。
当時なんとなく買ったものですが、
長年使って味が出てきたものは美しいですよね。

マイスター

学生のときに使い始めた革製品は「手放せない」「大切にしたい」という思い入れが強くなりますよね。
私も高校生のときに購入した革財布を未だに愛用しています。

中村さんのベルトも、色抜け、表面に刻まれたシワやヒビなどの風合いがとても素敵です。
革を長く使うことによる、経年変化の魅力がたくさん詰まっているように感じます。

腕時計におけるオーバーホールと同じように、
革靴や革製品を長く愛用するために、お手入れは欠かせない要素だと思います。

革のお手入れに対して、中村さんなりのこだわりはありますか?

中村さん

しっかり汚れを落としてあげたほうが、仕上がりがいいのかなとは思います。

日頃使っているものであれば頻繁に目にすると思うので、
なにか気づいたときに軽くブラッシングをしてあげたりするだけで、かなり良くなると思います。
そして、ケアのやりすぎはよくないかなと思います。

マイスター

中村さんがおっしゃってくださった通り、
汚れ落としもブラッシングも、シューケアでは欠かせない要素です。
お客様の靴を実際にお預かりし、
一連の磨きの流れの中でおろそかにならないよう、我々も常に意識をしています。

シンプルなお手入れを続けることで、
先ほどのベルトのような素材の美しい風合い、経年変化を楽しむことができるというのが、
革靴や革小物の大きな魅力ですよね。

「7足の中でよく履いているのは、3〜4足」とのことでしたが、
履いていない靴を保管する際に、なにか心がけているポイントはありますか?

また、その中で困ったことなどはありますか?

中村さん

靴は基本的に下駄箱に置いています。
住まいが古い建築なので特に夏は湿度が高くなりがちで、
靴やジャケットにカビが生えたことは辛い経験です。

最近はなるべく風通しを良くしてあげて、時々下駄箱を掃除するようにしています。

マイスター

カビは革靴を長く履く上で非常に厄介な存在ですよね。
昨年の梅雨は特に長く、
マイスターの各店舗にもカビに関してはたくさんのお問い合わせがありました。

お話をお伺いしていると、
先ほども申し上げた通り、靴を厳選して大切に履いているという印象を受けました。

中村さんが靴を選ぶときの基準や、足元に関するこだわりはどんな点にありますか?

中村さん

まずは履き心地が良いことを重視しています。
デザインはシンプルでトラディショナルなものが多いかもしれません。

機能性と使い心地のバランスが良いものが好きです。

マイスター

履きたくなる履き心地も、飽きのこないデザインのシンプルさも、
長く靴を履いていく上では欠かせない大切な要素ですね。

我々の工房にも時折、
何年、何十年、直しながら大切に履いているという素敵な靴をお預けいただくのですが、
それらの靴には “履き心地” と “シンプルなデザイン” の両方が備わっていることが多かったです。

最後に、今後中村さんが挑戦してみたい靴や企画をぜひご紹介下さい。

中村さん

地下足袋や雪駄が好きなので、自分で企画してみたいなとずっと思っています。

最近は、スニーカーも久しぶりに履きたくなってきました。

撮影:山田憲史


インタビューは以上です。

記事を編集しながら、
中村さんよりいただいたヴィンテージウォッチの数々の画像を眺めてしまうような瞬間が何度もありました。
お忙しい中インタビューにご協力いただいた中村さん、ありがとうございました。

私と同じように興味が湧き、「奥深い腕時計の世界を覗いてみたい」という方は、
下記HPより様々なヴィンテージウォッチを見ることができます。

人生の時間を共に刻んでくれる一生物の一点物に、出逢えるかもしれません。

次回の記事もお楽しみに。

 

WhiteKings

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