Meister interview vol.29 〜 BRITISH MADE 中川貴弘さん〜
2022年07月02日
革靴、皮革製品、靴磨きやファッションなどに精通しているプロフェッショナルな方々を、
M.MOWBRAY認定のシューケアマイスターがインタビュー。
お仕事の内容やこだわり、人となりについてご紹介する企画です。
今回インタビューにご協力してくださったのは、厳選された英国の服や靴、アクセサリーを通じて「英国のストーリーあるライフスタイル」を届ける「BRITISH MADE(ブリティッシュメイド)」の銀座店にて、店長を務める中川 貴弘(なかがわ たかひろ)さん。
紳士服や革靴を語る上では欠かせないイギリスについて、様々なお話をお届けしていきます。
BRITISH MADE|中川 貴弘
2014年入社。BRITISH MADE 銀座店に勤務。
レザー製品への造詣が深く、スタッフはもちろん多くのゲストに信頼されている。
|そもそものきっかけは「アメトラ」や「アイビー」
服飾の専門学校を卒業し、縁あってアメリカの老舗紳士服ブランド「Brooks Brothers(ブルックス ブラザーズ)」に入社しました。洋服に興味を持ったきっかけがデザイン性の強いブランドだったことから、入社前後は今ほど紳士服のルールや着こなしに重きを置いていませんでした。
ただ、日本のファッション黎明期を目にしてきた先輩方と働くうちに、Brooks Brothersならではの「アメトラ」や「アイビー」といった着こなしについて深掘りすることの面白さを知りました。
紳士服や紳士靴は、他の服のジャンルよりも深い歴史を持ちます。ネクタイの柄やシャツの襟、生地の織りなどの細かな部分にまで、奥深い理由やストーリーが存在するんです。そういった各アイテムや着こなしの歴史について、当時の先輩方に教えていただいたり、自身で調べたりしているうちに、気がついたらトラッドな世界の様々に夢中でしたね。
|ルーツを知るために欠かせないイギリスの存在
紳士服のルーツを追求する中で、自然とイギリスの文化や歴史にも触れる機会が増えました。
Brooks Brothersが創業した当時でも、スーツはイギリス生地を使い、アメリカ国内で仕立てたり、アメリカ製のスーツにイギリス製の革靴を合わたりというのは、ポピュラーなスタイルだったと考えられます。
そんな歴史に触れて以来、「アメトラ」や「アイビー」と呼ばれるアメリカらしい着こなしが好きになったからこそ、その源流に位置する「イギリス」の歴史やアイテムについても知りたくなりました。
その後、老舗のレザーグッズブランドである「GLENROYAL(グレンロイヤル)」をはじめ、英国製のアイテムを専門的に取り扱う「BRITISH MADE」の存在を知り、今の仕事に就きました。
|歴史ある英国靴と、その強み。
BRITISH MADEで勤務するようになってからは、ひとつのブランドにとどまらず、様々な英国製のアイテムに触れる機会が増えました。その中でもやっぱり外せないのは「靴」の存在だと思います。イギリスには100年以上の歴史を誇るシューメーカーが今でも存在し、世界の中でも特に優れた技術を持っています。
そんな歴史あるシューメーカーのひとつである「JOSEPH CHEANEY(ジョセフ チーニー)」は、お客様からの評価が高く、愛されているブランドです。
JOSEPH CHEANEYは革靴の聖地と呼ばれるイギリスのノーザンプトン州で、1886年に創業したシューメーカーです。創業以来、様々なブランドの靴の製造を請け負ってきた歴史があり、靴作りにおけるノウハウを豊富に持っています。さらに、現在ではジャーミンストリートのフラッグシップストアに代表される直営店を増やし、イギリス国内に11店舗を展開するブランドとなっています。
また、現代では靴作りに必要なアッパー(甲革)の成型や縫製、靴底の取り付けなどの各工程は、別工場、別会社で処理するのが主流です。しかし、JOSEPH CHEANEYは、これらの靴作りに必要な160を超える工程をすべて自社工場内で完結させています。このスタイルは「PURELY MADE IN ENGLAND」と呼ばており、革靴ファンの方々に支持されるひとつの要因となっています。
|タフにも上品にも履ける、人気モデル
JOSEPH CHEANEYの中でも特に人気の高いモデルが「AVON C(エイボン シー・写真上)」です。
「粒感の大きなシボ革」と「ひとつひとつ丁寧に施された穴飾り」、「ボリューム感のあるソール」と「シェイプの効いた木型」をそれぞれ取り入れることで、重厚感と英国靴らしい気品をあわせ持つ一足に仕上がっています。
太くて無骨なミリタリーパンツにも、カチッとした印象のスラックスにも合わせやすいので、ワードローブに加えると幅広い場面で活躍してくれます。秋冬はツイードのジャケットにも良さそうです。
私自身も4ヶ月ほど着用しており、服装を選ばずに履ける外観に加えて、履き心地の良さが気に入っています。どっしりとしたコマンドソールがついていますが、いざ足を入れてみると靴本体はそこまで重くないんです。加えてアッパーが柔らかく馴染みが良いので、すぐに自分の足にフィットしてくれるのも嬉しいところですね。
また、アッパーに採用されている「グレインカーフ」はキズや汚れにも強いです。雨の日やキャンプのときにもガシガシ履いていますが、ヘタれそうな様子はまったくないですね(笑)
あまりにもタフな一足なので、最近はお手入れも「敢えて」控えめにするのがマイブームです。スレや凹みがついてしまってもしっかりと味になってくれますし、良い意味で気を使わずに履けるんですよね。「本格的な革靴に挑戦したい」という方も、安心して履きやすい一足なんじゃないかなと思います。
たまにお手入れをするときは「BRITISH MADE オリジナルシューケアクリーム」を塗り込んでいます。気分によって「ニュートラル(無色)」と「ブラウン」を使い分けると、仕上がりもすこし変えられます。色の濃淡、革の表情の違いを愉しめるのも、「良いものを長く履きたい」「自分なりの味を出して育てていきたい」という方にはたまらないんじゃないでしょうか。
クリーム自体も塗り伸ばしやすく、ツヤ感も程よく出てくれて使いやすいです。何より、色が付きすぎたり、ベタベタになってしまったりという失敗が起こりづらいのは、ひとつのポイントですね。
|革の質感を存分に味わえるトートバッグ
GLENROYAL|ビッグトートバッグ
税込 132,000円
BRITISH MADEでは靴以外にも様々な英国製の革製品を取り揃えています。
特に40年以上の歴史を誇る老舗ブランド「GLENROYAL(グレンロイヤル)」は、多くのお客様に愛され続けています。
GLENROYALは1979年創業の老舗革製品ブランドです。元来は馬具として使われていた、肉厚で重厚な質感の「ブライドルレザー」と、素材の良さを活かすシンプルなデザイン、そしてこれらを形にする職人の技術が魅力です。ロゴも変に悪目立ちせず、どなたが使っていても「いやらしさ」みたいなものが出ないのも良い点だと思います。
お財布や名刺入れなどのアイテムもオススメですが、個人的にぜひ試してもらいたいのが「ビッグトートバッグ」です。ものすごく大ぶりなんですけど、造りのシンプルさゆえ、本体を構成するパーツ自体は少なくて。それに合わせて縫い目自体も少ないので、GLENROYALらしいブライドルレザーの風合いを存分に味わっていただけます。
街で普段使うにはややオーバーな大きさですが、そんな大ぶりさも気に入っています。ガバッと開ければ大抵のものは放り込めますから、急いでいるときや予期せず増えてしまった荷物にも、らくらく対応できるので便利です。
同時に、JOSEPH CHEANEYの靴同様にタフな造りなので、旅行やキャンプのときにも活躍してくれます。
ガシガシ使っても壊れませんし、革も丈夫なので、気を使わず安心して使えます。
|歴史を持つアイテムを使うことの愉しみ
JOSEPH CHEANEYの靴にしても、GLENROYALのバッグにしても、どちらも長い歴史を持つブランドです。そのため、各ブランドのルーツや変遷を辿るだけでも愉しめてしまうのが大きな魅力のひとつだと考えています。
BRITISH MADEの店舗には各ブランドについて深く知るスタッフがいつでもお待ちしておりますので、実店舗にも足をお運びいただきたいですね。ブランドの歴史や、受け継がれてきた技術について知った上で、各アイテムを選んだり、長く使い続けることで、より一層愛着を感じていただけると思います。
|手に入れるまでと、手に入れてから。
今回お話した2つのブランド以外にも、BRITISH MADEで取り扱っているアイテムは、流行り廃りにとらわれず、長く愛用していただけるものばかりです。ですので、今後は「手に入れるまで」のお手伝いに加えて「手に入れてから」必要になってくる、各製品のお手入れ方法についてもお伝えしていくつもりです。
買って終わりではなく、長く使い込んで、付き合っていくことで生まれる味や各製品のルーツ、歴史の深さなど、イギリス製品ならではの愉しみ方を、さらに感じていただけたら嬉しいですね。
インタビュー内容は以上です。
今回、中川さんにはお忙しい中、リモートでの取材にご協力いただきました。取材中は豊富な知識から、ファッションにまつわる多くのお話を聞かせていただき、いつの間にかインタビュアーである筆者が楽しんでしまうほど。中川さん、どうもありがとうございました。
そんな中川さんに加え、皮革の仕組みに精通し、M.MOWBRAY テクニカルアドバイザーを務める「斗谷 諒」氏を迎えてハイシャイン(鏡面磨き)のレクチャーイベントである「ハイシャイン道場」を開催することになりました。
難しいイメージの「ハイシャイン」を自力で仕上げられるようになるこちらのイベント。
・革を傷めずにハイシャインを仕上げるコツ
・その日のファッションや、好みに合わせて仕上げの光り具合をコントロールする方法
など、インターネット上だけでは感じとりづらい細かなポイントも、専門家がしっかりとレクチャーいたします。下記より詳細をご覧いただき、ぜひご参加ください。
次回のインタビューもお楽しみに。
BRITISH MADE 銀座店
|店舗情報
・住所 〒104-0061|東京都中央区銀座6丁目10番1号 GINZA SIX 5F
・電話番号 03-6263-9955
・営業時間 10:30-20:30
|各種HP、SNS
・公式HP:https://www.british-made.jp/
・Instagram:@british_made
※最新の店舗情報に関しては、事前に公式HPをご確認いただくことを推奨しております。
ハイシャイン道場 in BRITISH MADE
<開催日>
2022年7月16日(土)
├ 1部:11:00~ 各回4名
├ 2部:14:00~ 各回4名
<所要時間>
各回 60分
<予約方法>
EチケットアプリPeatixにて予約開始。
( 予約は コチラ から)
<参加費>
税込 3,300円
<参加特典>
特製 ハイシャインキット
├ M.MOWBRAY ハイシャインワックス(ニュートラル)
├ M.MOWBRAY ワックスクリーナー
├ M.MOWBRAY ポリッシングコットン
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