解説。気になるスエードの水洗い工程
日本橋店 2022年01月27日
こんにちは
日本橋工房 シンジョウです。
先月から「リラックス」に力を入れており、香木やアロマキャンドルなどを購入していたのですが、
新たに入浴剤を取り入れました。
今までも入浴剤は好きでいろいろ使ってきたのですが、最近使いだしたのがバスロマンです。
特に白く濁るタイプがお気に入りです。
一番効き目が強い気がします。
さて、
日本橋工房では日々色々な素材の靴をお持ち込みいただいています。
そんな中、よく耳にするのが「スエードの水洗い方法」に関する疑問。
私達、革のメンテナンスをしている者からすると当たり前の「革の水洗い」ですが、世間一般ではまだまだ認知されていません。
なので、今回は【スエード靴の水洗い工程】をご紹介します。
【どのような時に水洗いが必要?】
スエードの水洗いが必要になってくるのはどういった状態の時なのか。
①シミや汚れがひどい時。
一番分かりやすい例かもしれません。
軽い汚れであれば水洗いまでせずとも汚れを落とす事は可能です。しかし、ひどい汚れであればスエード用シャンプーを使い水洗いをする必要が出てきます。
②補色が必要な時
「補色するだけでも水洗いが必要なの?」と思うかたもいらっしゃるかと思います。
特に普段から靴のお手入れをされる方だとスムースレザー(表革)の補色の際は水洗いまではおこなわないので、イメージが湧かないかもしれません。
スエードを補色する時は根元から色を浸透させる為、液体タイプの補色剤を使用します。
なので、革表面に油分や防水スプレーが残っていると均一に液体を浸透させることができず色ムラができてしまうかもしれません。
なので、水洗いをかけ表面の油分を除去し液体が浸透しやすい状態を作ります。
③1年以上履いていて一度も水洗いをしたことがない靴
靴を長く履けば履くほど、革の中に汗が蓄積されていきます。その状態の靴が雨に濡れると革の表面に白い汗シミが浮き上がり、「塩浮き」という症状がおこります。
少しくらいであれば水洗いで除去できますが、ひどい場合は水洗いをしてもシミが完全に除去できず跡が残ることもあります。
なので、この症状が出てくる前に最低1年に1回は水洗いするのがおすすめです。
【水洗い工程】
水洗いが必要な時が分かったところで、日本橋工房がおこなっている「スエードの水洗い」の工程を紹介していきます。
①下準備
スエードクリーナーで表面の汚れや油分を落とします。
全体にスプレーを吹きつけ汚れを浮かせて、リムーバークロスで拭き取ります。
拭くときは「前→後」「後→前」のように様々な向きで拭くと汚れを落としやすいです。(ポイント)
②洗い
スエードクリーニングの際は、M.MOWBRAYスエードシャンプーを使い洗います。
靴全体に水を浸透させてブラシで泡立てながら洗っていきます。
本来はクリーニングブラシというクリーニング専用の化学繊維でできた柔らかいブラシがあるのですが、私は加工したペネトレイトブラシを使用しています。
加工ペネトレイトブラシがこちら
スエードの場合はブラシが柔らかいと泡立てるのに時間がかかり、お持ち込みいただいた靴を沢山作業する日本橋工房では少し大変なので、革をキズ付けない程度の硬さのブラシを作って使用しています。
因みに、本来のペネトレイトブラシと比較した写真がこちら
③乾燥
洗い終わった後は、洗剤を落として乾燥させます。
乾燥させる時は、ブラッシングで毛をある程度ほぐして乾かします。
毛が寝ている状態で乾かすと毛が硬くなります。硬くなった毛をほぐすよりも、予めほぐしておいた方が毛がふっくらと仕上がるのでお勧めです。(ポイント)
洗い前と洗い後
左側 洗い前 右側 洗い後
洗って乾かしただけなのでキレイとは言えませんが、洗っただけでさっぱりとしたのが写真だけでも分かります。
ここから栄養補給や補色をおこなっていくわけですが今回は「スエードの水洗い工程」の解説という事なのでここまでとさせていただきます。
スエードの補色が気になる方はこちらのブログをご覧ください。
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