グラデーションをつける磨き方
シューケアマイスター部京都店の西澤です。
今回は「グラデーションをつける磨き方」をご紹介します。
この磨き方を知ると、革靴の楽しみがグッと広がります。ぜひ最後まで読んでいただきたいです。
グラデーション仕上げとは
グラデーションとは物事の段階的な変化です。
「革靴のグラデーション仕上げ」は、部分的に色の明暗や濃淡を徐々に変化させる仕上げを指します。
例えばこの靴は、製造時にグラデーション仕上げを施しています。
色の明暗や濃淡に差がついた靴は、より立体的に見えます。
また、グラデーション仕上げ特有の色ムラによって、長年手入れをして履き続けた靴のようにも見えます。
このグラデーション仕上げ。実は自分の手で靴に施すこともできます。
今回はこちらの靴のつま先部分にグラデーションをつけていきます。
グラデーションをつける3つの工程
革靴にグラデーション仕上げを施す方法はいくつかあります。
今回はそのなかの一つ「油性ワックスを使ったグラデーション仕上げ」について、ご説明します。
その工程は3つです。
1.ベース作り
2.複数のワックスで色の濃淡をつける
3.光沢を出して、表面を整える
1.ベース作り
ベースとは、油性のワックスを使って色の濃淡をつけるための下地です。
M.MOWBRAY ハイシャインプライマー (¥2,500+税)
ハイシャインプライマーはベース作りに特化したアイテムです。
私はハイシャインプライマーを少しずつ指に取って、5回塗り重ねます。これでベースは完成です。
(1回あたり、1円玉半分くらいの面積が指先につくように)
5回と聞くと「結構多いな」と思うかもしれません。
しかし油性のワックスだけで作業を進めようとすると、もっと多くの回数を重ねなければいけないのです。
ハイシャインプライマーのおかげで作業効率は非常に良くなりました。
2.複数のワックスで色の濃淡をつける
今回は茶色の濃淡をつけるために、2色のワックスを使います。
M.MOWBRAY PRESTIGIO トラディショナルワックス(¥1,500+税)
ミッドタン(中間の茶色・ミディアムブラウン)とダークタン(濃い茶色・ダークブラウン)の2色です。
初めにベースを作った範囲全体に、ミッドタンを指で塗ります。
3~5回、重ねて塗ってください。
その後、ダークタンをつま先の先端と側面に重ねて塗ります。
色の濃淡差が目で見えるまで、ダークタンを塗ってください。
ポイントはこの段階で、色を濃くしたい部分にしっかりとダークタンを重ねておくことです。
3.光沢を出して、表面を整える
2つの工程で、つま先部分に色のグラデーションがついた状態になりました。
ここからワックスを薄く重ねて光沢を出し、仕上げます。
目が詰まった柔らかい布(M.MOWBRAY ポリッシングコットン ¥400+税)と水を用意してください。
この工程では、さらに色が濃いブラックのワックスも使います。
布を指に巻き付けます。水を3~5滴ほど布につけてください。
ワックスを布に取ります。ダークタン、ブラックの順番に布に重ねて取ってください。
ベースの上に、優しく円を描くように塗ります。表面を滑らすイメージで磨きます。
その後は「水を1滴布につける」「2色のワックスを布に取る」「滑らせるように磨く」を3回繰り返します。
ここまで綺麗な光沢が出ました。
この先は、布にワックスは取らず、水を1滴だけつけて磨くことの繰り返し。表面の曇りが取れたら完成です。
いかがでしょうか。
つま先のわずかな変化。それでも履いたときには、新しい靴を買ったくらい新鮮な気持ちになれるはずです。