【失敗しないブーツカスタムとは?】第二回:スペックから求める機能の最適解その②
FANS.浅草本店からYUMA.です。
前回「【失敗しないブーツカスタムとは?】第二回:スペックから求める機能の最適解その①」で
レッドウィング純正コルクソールのメリット(耐油性)について紹介しました。
しかしその高いスペックもディズニーデートでは無用の長物。
ならばパークめぐり用・パレード観賞用にはどのような底材が向いているのか。
ギブミーコンフォート。
今日はそれをお話ししていきます。
第二回の後編は、「快適な履き心地をブーツでも!」な人にぜひ読んでほしい内容です。
まずは前回もチラっとでてきましたリソール後のアイアンレンジャー。
この時使用したソールがこちら↓
有名ラバーソールメイカー「Vibram」の#2060というソールです。
結論から申し上げますとこのソール、履き心地を求める方にはオススメです。
なにをもって「履き心地の良さ」とするのかは個人の考え方がありますが、
・屈曲性
・クッション性
・軽量
これらの条件をしっかり満たしているのがこの#2060。
ふみつけ部分とヒール部分がなだらかに繋がったワンピースタイプのソールです。
素材はゴム入りEVA(Ethylene-Vinyl Acetate エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)。
柔軟性と弾力性に富んだ熱可塑性樹脂とゴムを混ぜ合わせたものです。
このようなEVA素材は靴底材として広く使われていますが、実はこのEVA。
いくつも種類があります。
天下のビブラムさんは、素材開発への熱意に溢れていて
同系統の素材でありながら、配合レシピを変えることで特徴や性格の異なる底材をいくつも展開してます。
我々修理人にとっても、選択肢が広がるとお客様へのサービス充実に繋がりますので
とてもありがたいことです。
ではこの2060はなぜ他のEVAソールより履きやすいのか?
触って確かめてもらえば一目瞭然なのですが、二次元ブログでは無理な話。
せめて客観的な指標である重さをここで紹介します。
比較するのは同じくUSビブラムの#4014。
レッドウィングのアイリッシュセッターなどに使われている純正トラクショントレッドソールに替わる素材として
ポピュラーです。
こちらもワンピースタイプですが、ふまずの抑揚がなくよりフラットなデザインです。
同サイズで#2060と#4014を比べると…
・#2060 328グラム
・#4014 662グラム
約半分ほどの重さです。
加えて柔らかなクッション性と屈曲の良さと聞けば、きっとその良さがブログ読者の皆様にも想像できるはず。
#4014もゴム入りEVAですので従来のゴム素材よりは軽く作られています。ただその上をいくのが#2060。
その素材配合名は「Morflex」(モルフレックス)。
従来のゴムの30%ほどの重さしかありません。
ブーツはシャフト分のボリュームがあるだけでなく、副資材(芯材など)もゴッツイのでただでさえ自重が重くなりがち。
ソールがここまで軽くなれば、気安く履けること間違いなしです。
#2060はダナーなどにも採用されており、アウトドアやハンティングスタイルのイメージが強いかもしれませんが
個人的には、ふまずの抑揚と細く平行に走ったパターンが
都会スタイルにもハマるなアなんて感じます。
#2060特有の「サハラ」というカラーリングもレトロな雰囲気があって好きです。
(黒と濃茶も展開されてますが、サハラは案外どんな色のブーツにも馴染みやすいです)
アトラクションめぐりに疲れた彼女をお姫様抱っこしても
モルフレックスが優しく受け止めてくれますよ。
ではまた次回。