後編:【タニノクリスチー】マッケイ製法からブラックラピド製法へ
こんにちは。
FANS.浅草本店のYUMA.です。
前回マッケイ製法の特長をお話しました。
前回の記事はこちら↓
マッケイのもつ弱点。
ソールからの浸水とオールソール回数の少なさ。
そのふたつを解決する方法はズバリ!
「ブラックラピド製法」
ブラックラピド製法とは、「ブレイク製法(マッケイ縫いの別名)」+「アウトソールへのダシ縫い」を組み合わせた製法のことです。
詳しく説明していきます。
アッパーとソールを直接縫い付ける製法であるマッケイは、ほかにも呼び名がありまして
「ブライク製法」や「アンズ縫い」なんて言われたりも。
つまりブラックラピドも通常のマッケイのようにインソールに縫いをかけるのは同様です。
しかしそこから先が異なります。
マッケイなら直接アウトソールに縫い付けますが
ブラックラピドの場合はミッドソールを一枚かませて一度縫いをかけます。
その後アウトソールを張り付け、ミッドソールとアウトソールを縫い付けます(ダシ縫い)。
このダシ縫いが追加されることで、アウトソールを交換する際はダシ縫いをかけ直すだけで済みます。
ミッドソールを外さずに済むのでインソールにマッケイ縫いをかける頻度が下がるという寸法です。
さらにインソールのミシン穴がアウトソールによって塞がれるため、通常のマッケイにくらべ
浸水に強くなります。(もちろんアッパーのきわからは浸水してきますが。)
これまでマッケイが苦手としていた要素を補えるというわけです!
実際に作業するとこうなります。
ミッドソールをインソールとマッケイ縫い。↓
このあとアウトソールとミッドソールを縫い付けて完成。
ソールコバ上面部分(いわゆるウェルト部分、これはミッドソールですが)をみると、アウトソールとのダシ縫いがわかるとおもいます。
パッと見グッドイヤー製法のような雰囲気になりました。
ソールはアシンメトリーデザイン。
イギリス製とロシア製と国産の飾り模様を大小織り交ぜインパクトのあるビジュアルに。
ふまず部分にはダシ縫いをかけず木釘で留める古典的な手法をとりました。
ダシ縫いをかけないため自由にコバを削りこむことができ
もともとタニノがもっていた抑揚あるシルエットを意識しています。
あえて平コバでくっきりと切り換えをつけてみました。
イタリア靴によく見られるブラックラピド製法。
マッケイをもう少し「強く」したい場合の一案としていかがでしょう。