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前編:【タニノクリスチー】マッケイ製法からブラックラピド製法へ

こんにちは、FANS.浅草本店のYUMA.です。

 

装いを新たにしたシューケアマイスターブログ。

これまでずっとお読みくださった皆様も

これからはじめてお読みになる皆様も

どうぞお付き合いくださいませ。

 

さあ、記念すべき1発目の記事は浅草本店でおもにオールソールを担当している

この私がご紹介いたします。

 

早速こちらをご覧ください。

タニノクリスチーのタッセルローファーです。

 

【タニノクリスチー】は1876年イタリアはミラノに誕生した伝統的なシューメイカーでした。

2011年に廃業するまで、マッケイ製法を主軸に華麗な革靴を作り続け多くのファンを魅了してきました。

マッケイ製法とは靴のインソール(中底の意。※混同されがちだが中敷きではない)とアウトソール(靴底)を直接縫い付ける製法です。

構成パーツ数が少ない分、軽くて柔らかい履き心地を得やすいというメリットがあります。

さらにシンプルな構造故ゆえデザイン上の制約が少なく、細く薄い耽美なスタイルに仕上げることにむいています。

 

そんなマッケイのデメリットとしてしばしば挙げられる以下のふたつ。

・ソールからの浸水

・オールソール回数の少なさ

 

まずソールからの浸水について。

これはマッケイの構造上どうしても発生してしまう弱点です。

インソールとアウトソールを直接縫い付けるため、靴の内部と地面との間に針穴のトンネルがたくさん開通します。ハーフラバーを貼ったりヒドゥンチャネルにしたりと対策はあるものの、やはり物理的に浸水しやすい構造と言えます。

 

次にオールソール回数の少なさ。

マッケイ製法の靴はオールソールのたびに、底縫いのための針穴がインソールにあいてしまうので数回繰り返すとインソールが穴だらけになり

最悪割れてしまいます。

交換前提のアウトソールと違い、インソールは木型の情報を記憶している底材ですのでとても重要なのです。

つまり長く革靴を履くにはいかに中底のコンディションを維持するかが肝となります。

同時にマッケイ製法ではアッパーにもミシン穴があいてしまうのでアッパー側からやぶれてしまうケースもしばしば。

これらの理由からマッケイは耐久性に難ありと言われてしまうんですね。

個人的にはアッパーもインソールも直そうと思えばいくらでも直せるのですが

そこには相応のリスクが伴いますので、いたずらにオールソール回数を増やすのは

やはり得策ではありません。

 

得手不得手。

なんにでもありますね。

 

ではそんなマッケイ製法の弱点を克服したソールカスタムの全貌を

いよいよ次回ご紹介します。

 

 

 


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