水の力で、革靴にできた凸凹を綺麗にする
こんにちは。銀座工房の寺田です。
先日、私物の腕時計を修理してもらいました。
数時間動いては止まってを繰り返していたため、時計修理屋さんに相談。
「もしかして手遅れか…」と思う不具合でしたが、修理後は快調に時を刻んでくれています。
自宅から数駅のところに信頼できる修理屋さんがあって、本当に良かったです。
さて、手遅れになってしまう前に手を打っておきたいのは革靴も同じ。
今回は、我々シューケアマイスターに早めに相談していただきたい、革靴のトラブルをご紹介します。
雨に濡れたあとは要注意
革靴にトラブルが起きやすいのは、雨や雪に濡れたあとです。
たとえば、靴下が濡れてしまうくらいの雨に降られてから2〜3日ほど放置すると、このような状態になってしまうことがあります。
遠目からですと、何も起きていないように見えます。
しかし、つま先のあたりに寄ってみると、革の表面に変な凸凹が。
これは、水に濡れた革が乾くタイミングで、革の中に溜まっていた汚れなどが表面に浮き出てくるトラブルで「銀浮き」と呼ばれています。
銀浮きが起きてしまった靴は、靴磨き用のクリーナーや靴クリームを使っただけでは綺麗になりません。
雨のトラブルを解決するには水を使う
銀浮きが起きてしまった革靴を綺麗にするためには、水を使う必要があります。
「雨で起きたトラブルなのに、水を使うの?」「革靴に水は大敵なのでは?」と思われるかもしれませんが、心配はありません。
実は、雨や雪による革靴のトラブルは、靴が不均一に濡れたまま放置して起きてしまうことがほとんどです。
ですので、革の表面から水を全体に均一に染み込ませ、そこから洗浄。時間をかけて自然乾燥させれば、銀浮きは綺麗に消えてくれます。
洗浄後、乾燥させた靴
銀浮きの度合い、トラブルが発生してからの時間、革の種類によっては消えないこともありますが、この方法が有効な革靴は多くあります。
水を使って、革靴をリフレッシュするクリーニング
我々シューケアマイスターが在籍する各工房では、靴クリーニングというメニューがあります。
クリーニング作業後の靴
靴クリーニングでは、革靴全体を均一に濡らしたのちに洗浄し、それぞれに適した方法でコンディションを整えて仕上げることができます。
そのため、通常の靴磨きでは改善できない銀浮きにも有効なのです。
なお、銀浮きは発生してから早めに対処した方が、綺麗になる可能性が高いです。
クリーニングの価格は、税込¥4,400〜です。十分に乾燥させてから仕上げるため、一週間お預かりして作業をする必要があります。
雨に濡れたあとの革靴に変な凸凹を見つけたときは、早めにご相談いただければと思います。