靴磨きブラシの使い分け~豚毛ブラシ~
こんにちは。京都工房の西澤です。
今回は前回に続き、ブラシに関するお話です。
前回はホコリ落としに最適な、馬毛ブラシをクローズアップしました。
前回ブログはコチラです。
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https://www.shoe-repair.net/blog/kyoto/10247/
今回は、靴クリームを革になじませるための豚毛ブラシをご紹介します。
「クリームを革靴になじませる=ツヤ出し」にはブラシを使う
靴磨きでは、靴クリームを塗った直後にブラシをかけます。
革に塗った靴クリームが乾いてしまう前に、クリームを均等に伸ばし、なじませるためです。
この工程は、布でも作業できるのですが、ムラなく仕上げるにはブラシが最適です。
こちらのブラシは、当店で販売している「SANOHATAブラシ 豚毛(税込¥4,950)」です。
手になじみやすい持ち手の形状、取り回しやすいサイズと重さがポイントのブラシで、私もお客様の靴を磨くときに良く使っているモデルです。
クリームを塗った直後にブラシをかけると、靴にはみるみるとツヤが出てきます。
ですので、ここで使うブラシは「ツヤ出し用ブラシ」とも呼ばれています。
このツヤ出し用ブラシに最適なブラシは、豚毛のものです。
それは、豚毛ブラシが次の二つの特徴を持っているからです。
・硬い毛質で、弾力が強い
・毛束の間隔が広い
豚毛ブラシがツヤ出しに最適なのは、なぜ?
靴クリームは、基本的に油分やロウ分が含まれていて、粘り気があります。
クリームの塗布後に使うツヤ出しブラシは、この「粘り気に負けない強さ=毛の硬さ」が必要です。
毛質が柔らかすぎると、クリームの粘りに毛が引っ掛かかってしまい、うまくクリームが伸びません。
毛質が硬いブラシであれば、クリームの粘りに負けることなく、革全体にスムーズにクリームをなじませることができます。
ツヤ出しブラシに必要なこの硬さを持っているのが、豚毛ブラシなのです。
ツヤ出しブラシには、毛束の間隔が必要
豚毛ブラシは、馬毛ブラシや山羊毛ブラシと違い、毛束の間隔が広く作られています。
こちらの画像に並んでいるのは、上が馬毛ブラシ、下が豚毛ブラシです。
豚毛ブラシは毛束同士の間隔が広いため、土台となる木の持ち手が毛の隙間から見えます。
一つ一つの毛束の間隔を広くすると、毛が大きく動くことができます。
毛が大きく動けば、一本一本の毛は強くしなります。
この強いしなりによって、クリームを広範囲に、素早くなじませる力が生まれるのです。
いかがでしたでしょうか。
豚毛ブラシがクリームをなじませること(=ツヤ出し)に適した理由、ご理解いただければ幸いです。
次回は、靴磨きの最後の工程で使用する、山羊毛ブラシについてお話したいと思います。